全ての教科の基礎になる「国語力」を伸ばすことが、日本人の子どもにとって重要だと考えています。
自分でしっかり考える子になってほしいから、思考力の土台になる国語力(読解力・語彙力・表現力など)の育成は欠かせません。
小さいうちや低学年の間は差が見えなくても、差が広がってから気づいたのでは困るのが国語力。
塾、通信教育、市販のドリルと取り組める教材はたくさんあるけれど、まずは家庭での工夫を積み重ねることがじわじわ効いてきます!
この記事では、小学生の娘と息子を育てる、子どもの教育が趣味の私が、家庭で取り組んでいる国語力を伸ばす工夫を紹介します。
高学年の娘は読むことも書くことも小さい頃から好き&得意、低学年の息子は文字よりも数字が好き&得意です。子どもに合う方法で、楽しく国語力を身につけることを意識しています。
国語力を伸ばすならドリル?塾?家庭でできることに注目!
国語力を伸ばすため、まずは家庭内でできることに注目しました。
「読解力が気になるから、問題演習ドリルをさせたほうがいいかな」「国語が苦手にならないうちに塾に入れたほうがいいよね」など、よくわからないからと市販教材や塾に頼りがちな国語の勉強。
でも、ドリルをやれば、塾に行けば、通信教育を受ければ、誰でも国語力がバンッ!と上がるものではないんですよね。
国語=日本語は、私たち日本人が毎日何をするにも使う言語です。つまり、日々の生活のなかに国語力をアップさせるチャンスが転がっているということ。逆に、普段の生活がないがしろなのに、教材だけで国語力をアップさせるのは難しいのではないでしょうか?
もちろん、ドリルや通信教育、塾をうまく使うことで国語力アップにつなげられるのも事実です。子どもに何が足りていないか、何を与えるといいかを理解して、必要なものがハマれば効果が出ます。
生活のなかで国語力アップの取り組みをしながら、必要に応じてドリルや通信教育もプラスしていくのが効率的な取り組み方だと考えます。
語彙力がないと、読解力も表現力も上がらない
小学生の国語力を上げたいとき、大切なのは語彙力です。文章を正しく読み取る読解力も、自分の意見を伝える表現力・作文力も、語彙力がなければ伸ばすのが難しくなります。
中央教育審議会答申において,「小学校低学年の学力差の大きな背景に語彙の量と質の違いがある」と指摘されているように,語彙は,全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤となる言語能力を支える重要な要素である。
参照:小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説(国語編)
学習指導要領の解説にもあるとおり、語彙は国語だけでなく、全ての教科の学習に関係してきます。
小学生の国語力を伸ばすために家庭でできること4つ
小学生の国語力は、子どもが持って生まれた資質プラス、親が用意する環境が大きく影響すると考えます。
毎日毎日使う日本語だからこそ、それをどんなレベルで運用するかが子どもの国語力を左右するので、家庭でできることを工夫してきました。
言い換えや似た表現の語彙を会話に散りばめる
普段の会話のなかで、可能な範囲でさまざまな言葉を取り入れています。「当たり前」だけじゃなくて「当然」と言い換えてみたり、食事について「タンパク質」や「脂質」を簡単に説明したりといった具合です。
子どもが小さいうちは気付きにくいけれど、小学校入学の時点で子どもの語彙力にはすでに差があるのが事実。
絵本の読み聞かせゼロ、遊びはYouTube、口数の少ない親と長時間過ごすだけ、こんな子がいる一方で。毎日絵本を読み聞かせ、同年代や少し年上の子どもとも遊び、時にはニュースの内容を親が簡単に説明しているような子もいますよね。
語彙力を強化するドリルで補強するのは悪くないけれど、まずは会話のなかで自然にいろんな言葉に触れてほしいと思っています。
「同義語」をドリルで学んでも、実際に読んだことや聞いたことがなければ、なかなか定着しないんですよね。せっかく毎日日本語を話すのだから、無理のない範囲で意図的に、多様な語彙を会話のなかに盛り込むようにしています。
オープンクエスチョンで子どもの話を引き出す
子どもと会話するときは、YesかNoかでは答えられない「オープンクエスチョン」で質問することを意識しています。「今日も学校は楽しかった?」だと、「うん」ぐらいしか返ってきません。
「今日の出来事で印象的だったことを何かひとつ教えてよ」など、答え方が1つや2つではない質問がポイント。子どもの気分によっては大した答えが得られないこともありますが、気分が乗っていればじゃんじゃん話してくれます。
話をするということは、どこかで聞いたり読んだりとインプットした語彙をアウトプットする機会になり、語彙の定着に役立つと考えています。英語でも同じですが、いくら覚えた単語や文章も、スピーキングの練習をしていないと口から全く出てこないんですよね。
おしゃべりは語彙力の向上だけでなく、表現力アップにもつながります。しゃべるためには頭のなかですらすらと文章を作る必要があり、それができれば作文をすらすら書きやすくなると思っています。
親から働きかけて語彙をインプットするのに加えて、子どもから話・文章を引き出すことも大切にしています。
学校の漢字ドリルに出てくる言葉の意味を確認する
小学校から毎日のように出る漢字ドリルの宿題を、語彙力アップのチャンスにしています。漢字をノートにたくさん書いて、その字が書けるようになることはもちろん大切ですが、それだけではもったいないです。
例えば、「術」を習ったら「学術」「技術」など、その漢字を使った言葉が近くに記載されていますよね。何も考えずに写すのではなくて、意味の分からない言葉はその場で確認するようにしています。
3年生ぐらいになると概念的な言葉も増えるので、親もあまり知らない言葉が載っていることも。
余裕があれば国語辞典を引くのが一番いいのでしょうが、私はそこまで頑張ると続かないので、スマホでささっと調べて意味を伝えています。
その瞬間には覚えなくても、言葉はいろいろなところで出合って、徐々にインプットされていくはずです。漢字ドリルの宿題でどうせ書くなら、語彙を増やす機会にすると効率がよくておすすめです。
読書を楽しませる。親も頑張る姿勢が重要!
小学生の国語力を伸ばすなら、読書は外せないのが通説ですよね。とはいえ、小さい頃から読み聞かせを頑張っても頑張らなくても、子どもが読書好きになるかは結局のところ本人の資質にも左右されるのが現実です。親が頑張れば子どもが必ず本の虫になる、というわけではないのが難しいところです。
でも、親が本を読むように・本を好きになるように仕向ければ、子どもが読書好きになる確率は上がると思っています。水泳教室に通わせたり、プールに連れて行ったりしなければ、水泳が得意になる可能性が低いのと同じように、本を与えなければ読書好きになる可能性は低くなるでしょう。
子どもに本を読んでほしいと思ったとき、重要なのは読書を楽しませることです。楽しいと思わなければ続かないし、そもそも読んでも何も頭に入りません。ただノルマのように与えても、苦痛な時間を過ごすだけです。
本を読むのは楽しいことだと思わせるのがポイント。親の自分が本を読まないのに、子どもには国語力のために読ませようとしていませんか?親が率先して本を読み、楽しんでいる姿を見せるのが一番です。
とはいえ私自身は本を読む習慣がないため、どうすればいいかと考えた結果、小学生向けの児童書を一緒に読んでいます。もし本をあまり読まないのなら、私のように子どもレベルの本を読む方法を試してみるのがおすすめです。
最近は、親子で5分間読書することを取り入れました。飽きたなら5分でやめていいから、とにかく5分間はそれぞれ静かに本を広げる時間です。読み聞かせだと親の負担が大きくてなかなか続かない人にも、5分間黙読するだけならやりやすいのでぜひ試してみてください。
失敗と紙一重?!気をつけたいポイント2つ
小学生の国語力を家庭で伸ばすにあたり、気をつけたいポイントがあります。世間でいいと言われることでも、やりすぎると逆効果になることも。365日毎日使う日本語だからこそ、楽しく力をつけたいですよね。
子どもに合う方法は人それぞれなので、我が家もぴったりのやり方を常に模索しています。
本の内容を尋ねすぎると、子どもが苦痛に感じることも
小学生の国語力をアップさせる方法として、子どもに読書をさせ、その内容を要約することが推奨されているのを見たことがあります。また、読み終わった子どもに、本の感想を事細かに聞くことがすすめられている場合も見かけます。
一方で、子どもに本の内容を聞くのはやめましょう、とする意見も。相反するやり方なので、調べれば調べるほどどちらがいいのか迷う人もいるのではないでしょうか?
私は、どちらもメリットデメリットがあるため使い分けが必要だと思っています。特に、本の感想を求めたり、要約を求めたりする方法は、子どもの性格や親の話し方によって、うまく転ぶ場合と大きく失敗する場合の差が激しいでしょう。
本の内容を尋ねて国語力アップに活かすのは、非常にハイレベルなことをやろうとしている、という点はしっかり認識したほうがいいと考えます。読書をすでに心から楽しんでいる子でなければ、感想や結果を求められることで、一気に冷めるはず。楽しかったものが、急に勉強に変えられてしまうからです。
あなたが友人から「これ面白いよ!」と、本やサイトをすすめられたところを想像してみてください。読んだ本やサイトが確かに面白くて、楽しい気分でいたら、「どうだった?どこが面白かった?一番心を動かされたのはどの部分?」なんて立て続けに聞かれたら、嫌気が差しませんか?
次に同じ友人からまた別の本をおすすめされたとき、積極的に読む気になりますか?「これを読んだらまたいろいろ聞かれるんだろうな…」と私だったら億劫になります。子どもも同じです。楽しいものは、楽しい。それで終わりたいですよね。
私が子どもに本の内容を尋ねるときは、純粋に本の内容を知りたいと思っていることが伝わる聞き方になるように注意しています。
自分が読んでいない本なら「面白そうだからお母さんに教えてほしいんだけど、これってどういうお話なの?」、自分も知っている本なら「お母さんは○○が△△になるのは予想外だったな~。あなたはどの場面が印象的だった?」といった聞き方です。
読み終わったらいつも親にテストされると思えば、子どもが読書を苦痛に感じてしまうので、重々気をつけるべきだと考えています。本を読むことが楽しければたくさん読むはずなので、楽しさを取り上げないように要注意です。
問題演習ドリルは、読書の基本があってこそ
国語力を伸ばしたいからと、本を読まない小学生に問題演習ドリルを安易に与えるのは注意すべきだと考えています。特に、国語力のなさに困っている場合はなおさらです。
ドリルの前に、読書が大切。受験前でテクニックを身につける必要がある高学年ではなく、低学年なら読書習慣をつけるほうが重要です。
問題演習ドリルは、「本はよく読むのに読解問題はあまり点数が取れない」「読書の習慣があるうえで、問題形式も得意になりたい」という子がやるべきだと考えています。ドリルに出てくる文章は、何かの抜粋であることがほとんど。短い部分だけを読んで、テスト形式で解答する訓練です。
もちろん、読書とドリルの両方に取り組めれば、効率よく国語力を伸ばしていけます。文章全体を読んで、背景や行間を感じながら進められる読書と、一部抜粋だけを読んで、ポイントをしっかり抑えるテスト対策。でも、どちらかしかやらないなら、読書を優先すべきです。
そもそも、本を読まないのに、国語の読解ドリルが好きな子っているのでしょうか?ドリルが好きなら、読書も好きなのではと思います。イヤイヤ問題を解いても効率が悪いので、まずは本や文章を好きになることが重要だと考えます。
男の子脳は国語力があとから育つ場合も!子どもに合う方法が大切
国語力を伸ばす効率のいい方法は、子どもによって一人ひとり異なるはずです。私のこの記事も含めて、いろいろな勉強法や体験談が巷にはあふれています。共感するやり方をまずは試して、軌道修正していく。万人に当てはまる正解はないので、結局のところ試行錯誤が必要です。
私の娘は小さい頃から本が好きで、文字を読むのも書くのもとても早かったのですが、息子はいたって普通でした。その子に合うペースや内容があります。
何歳までにこれをやるべきとか、何年生ならこのドリルがいい、なども人によって違うはず。今後も、それぞれに合う方法を常に探しながら、楽しく国語力を伸ばしていきたいと思っています。
特に、男の子の脳は、言語能力を司る左脳よりも、空間能力に関係する右脳のほうが早く発達します。一般的に女の子のほうが国語が得意だとされるのは、ここに理由があるようです。
参照:男の子の学力の伸ばし方
女の子でも男の子脳に近い発達の場合もあるだろうし、得意な面やまだ苦手な面を見ながら、調整していくのが一番だと思っています。