「本を読む子どもに育てたいと、絵本を読み聞かせてきたけど、本当に将来役立つの?」
「ここまで絵本好きに育ってるけど、この先期待していい?」
「絵本好き→読書好き→賢い子…とうまく進む?」
読み聞かせに取り組んだかいがあって、絵本が好きな子に育っている、
このまま本好きに育ってくれるのかなって、気になりますよね。
親自身があまり読書をしない場合、自分がどんな風に読書に関わるべきかも悩みます。
本が大好きな小学生と幼稚園児の母である私が、「子どもには本を読ませたい」と考えるのは、自分が読書する大人になれなかったから。
親の願い通り、読書家になってくれるのでしょうか?!
この記事では、絵本が好きな幼児を持つ方へ、
「今」楽しめていれば十分だということ、環境を整える親の役割についてお伝えしていきます。
読み聞かせそのものを楽しむ
将来に役立つのではと、知育面で期待して、絵本の読み聞かせを始めた方は多いですよね。
赤ちゃんの時から読み聞かせをし、図書館にも通い、絵本を楽しむ子に育っている場合。
このまま読書好きな小学生になって、将来安泰?!
なんて思うこともあるけど、そう上手くいくのか、疑問になってきます。
でも、重要なのは「読み聞かせそのものを楽しむ」ことなんです。
絵本を通した親子の時間に意味がある
小さい時に絵本にたくさん触れた人の中には、その後読書が好きになった人もいれば、本を読まない大人に育った人もいます。
絵本好きだからといって、必ず読書が好きな人になるわけじゃないんですよね。
でも、みんなに共通してあるのが「子どもの頃、親がたくさん絵本を読んでくれた」という温かい思い出です。
忙しい合間をぬって、自分のために時間を作って読んでくれた日々のこと。
ぼんやりと心に残る、とっても豊かな思い出なんですよね。
結果なんて後からついてくるもの
極端な話、本好きにならなくても、成績が良くならなくてもいいじゃないですか。
「幼い頃、絵本をたくさん読んでもらった」という幸せな時間の思い出ができれば、それで十分意味のあることです。
読み聞かせでは絶対そばにいることになるので、親子のコミュニケーションになります。
「この世界には本という楽しいものがある」ということを教えられるだけでも、価値があります。
だから、今読み聞かせを楽しんで出来ているなら、それで十分すばらしいことなんです。
何より大切なのは、「今」この瞬間が楽しいかどうか。
毎日少しずつでも、絵本を通して親子が向き合う時間をとれれば、それが読み聞かせの一番のメリットです。
幼児期からの読書習慣と学力
とはいえ気になるのが、「絵本の読み聞かせ習慣は学力に関係があるのかどうか」ということですよね。
少なくともここまで絵本を読んできている子どもたちは、確実にいい位置にいるわけです。
ここで、幼児のうちに絵本から読書習慣をつけることと、小学生で勉強ができるようになることが、関係する2つのことについてお話しします。
一つは、「語彙力(語彙の豊かさ)が低学年の学力に影響していること」、もう一つは、「集中力が養われること」です。
低学年の学力差に語彙力が関係している
読書をすることで、色々な言葉や表現が学べるというのは、当たり前ですよね。
小学校に入学する前から、絵本などを通して語彙力を養ってきた子と、家庭で何の働きかけもしなかった子、
どう考えても、差があるに決まっています。
新学習指導要領の解説では、このように言及されています。
「小学校低学年の学力差の大きな背景に語彙の量と質の違いがある」と指摘されているように,語彙は,全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤となる言語能力を支える重要な要素である。
【国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説
これは、知っている言葉が多いと、どんな教科でも教科書の理解が進むということです。
また、これまで絵本をよく読んできている子なら、本からたくさんのことが学べるということを体感してきています。
教科書に書いてある文章から、重要な部分を読み取る力も自然に身についていることが多いです。
国語に算数、生活科に英語など、それぞれの教科で土台となるのが語彙力になるので、読書習慣の大切さがわかりますよね。
ここまでの読み聞かせは、とても意味のあることだってこと!
語彙の量も質も充実させて語彙を豊かに
語彙力と聞くと、たくさんの言葉を知っている、覚えているというイメージが浮かびますよね。
でも、語彙を豊かにするために必要なのは、インプットだけではありません。
知っている言葉を増やして、それを自分のものにしていきます。
理解している言葉を、自分の言葉として発信できることや、正しく使いこなすことが必要ということです。
学習指導要領では、「語彙の量と質の両面が、低学年の学力差に大きな影響がある」ということが、示されています。
語彙を豊かにするとは,自分の語彙を量と質の両面から充実させることであ る。具体的には,意味を理解している語句の数を増やすだけでなく,話や文章 の中で使いこなせる語句を増やすとともに,語句と語句との関係,語句の構成 や変化などへの理解を通して,語句の意味や使い方に対する認識を深め,語彙 の質を高めることである。
【国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説
読書は、インプットにあたります。
インプットした量がただ多いだけでは、語彙は豊かになりません。
これは、英語で考えると分かりやすいです。
聞けばなんとなく分かるような知っている単語が増え、そのうちの何割かが自分で使いこなせる言葉になりますよね。
語句を使いこなせるように、アウトプットもしないといけないということです。
本から得たもの(インプット)を、会話や作文に活かしていくこと(アウトプット)も大切になります。
我が家では、書く力に特化した通信教育のブンブンどりむをやっています。
毎月2回の添削課題が大きな特徴です。
いかにも勉強!なテキストが苦手な子にもぴったりな、マンガ形式の教材が楽しいので、ぜひチェックしてみてください。
本が読める=集中できるということ
読書では、集中力も養われます。
本という静止対象をジッと見て、読み進めていく行為は、集中しないとできないからです。
ぼーっと見ていればいいYouTubeやテレビと違って、本の文字を追って理解するには、とてつもない集中力が必要です。
脳科学者の茂木先生によると、「読書に集中している状態は、地頭の発達のカギになる部分が活動している状態」です。
地頭の発達のカギになるのが、脳の前頭葉の前側にあるDLPFC (前頭前皮質背外側部)という部位。集中力を発揮するときに使われる回路、いわば脳の司令塔で、IQ(知能指数)とも関係が深いと言われています。読書に集中している状態が、DLPFCが活動している状態だと思ってください。
茂木健一郎先生(脳科学者)が語る、「読書が脳に与える いい影響」とは【第1回】
読書をすると、語彙だけでなく、落ち着いて1つのことに集中できる力が身につくんですね。
小3の娘は幼い頃から読書が好きなので、集中力で困ったことがありません。
下の息子(年長)は、あまりじっとしていないタイプですが、絵本をめくっている時は静かに集中して座っています。
親としては、幼児期から座って集中する経験が積めていると、入学後も安心ですよね。
環境を整える親の役割
親子のコミュニケーションとして読み聞かせを楽しむ以上に、親ができることについてお話します。
親がすべきなのは、興味の種をまいてあげて、環境を整えてあげることです。
成果を考えるなら絵本+α
絵本という本を好きになっている今の状態で、せっかくなら賢い子に育てたいと思うのが親心ですよね。
あわよくばで成果を考えるなら、絵本にプラスして親がしてあげたいことがあります。
- 絵本に出てくる場面について、深掘りする
- 絵本に関連する場所に、連れて行く(博物館など)
- 絵本に出てきたものを、図鑑で詳しく調べる
絵本をきっかけに興味を広げるということを、いわゆる賢い子の親はやっているわけです。
絵本は子どもとのコミュニケーションツールとして、ただそのものを楽しみます。
そして、そこから派生して知識をつけることで、ステップアップできるんですね。
もちろん、深掘りしたことを忘れてしまってもいいんです。
博物館で見た内容なんて、小学生になったらほとんど忘れているかもしれません。
大事なのは、知りたいことがあれば本で調べたり、詳しい場所に出かけたりすることができるという情報を伝えてあげることです。
小3の娘は、気になることがあれば図鑑や本をひっぱり出してくる癖がついています。
子どもの興味に合わせて、良いタイミングでフォローしてあげると、絵本から世界が広がっていくんじゃないでしょうか。
人生のどこかで、それが糧になればいいな。
親も一緒に読書って…何を読む?
読書好きの子どもに育てるには、親も本を読むべきだと、よく言われますよね。
私自身、幼少期は本が大好きだったのに、残念ながら本を読む大人には育ちませんでした。
でも、子どもには、本を楽しめる人に育ってほしいと考えているので、自分も読書をすべきなんです。
親が本を楽しんでいないのに、「本は楽しいよ!」なんて言っても説得力皆無ですからね…
でも、どこを調べても「親が読書をする姿を見せることが大切」としか書いていないわけですよ。
\いやいや、親が読書好きならそもそも悩まないわ!/
子どもと一緒に、何の本を読めばいいのか…?
と考えた私は、育児本を読むこともありますが、大抵は子どもの本を読んでいます。
親自身が本を読む習慣がない場合、何を選んでいいやら分かりませんよね。
小難しそうな本を手に取ってもみるんですが、恥ずかしながら全く進まない…
そこで、子どもが読んでいる、もしくはこれから読ませたい童話や児童書を、読み進めています。
娘も、「お母さんもこれ読んでみてよ!すっごく面白いから」なんて嬉しそうに話してくれます。
読書習慣のない親御さんは、是非この方法を試してみて下さい♪
同じものを読んでいると子どもも喜びます。
絵本から読み物の読書へ
今は、読み聞かせから始めた取り組みがうまくいって、絵本好きの子どもに育っている状態。
家にも絵本を結構置いているし、日中は園でも絵本を楽しんでいる。
小学生になったら、自分からどんどん本を読む、読書好きな子になるかな?
と私たちは期待するわけですが…
絵本は読書につながるの?
絵本の読み聞かせ習慣が、そのまま読書好きの子どもを作るわけではありません。
これは、通う小学校の取り組みと、家庭での取り組みで結果が変わってきます。
積極的に読書指導をしている小学校なら、家でもサポートをすれば、絵本から読書につなげていくことができます。
今は、どこの小学校でも10分間読書の時間があったり、みんなで図書室へ行ったりするはずです。
そして、本を読む子になるには、家が読書に適した環境であることが大事です。
本が気軽に手に取れる場所にあるとか、家族も本を読むとか、図書館や本屋へ行く機会が多いとかですね。
読書が好きになるかどうかは、本が身近な存在かどうかにかかっています。
絵本から読み物の読書へどうつなげていくか、そこが私たち親がみんな期待する賢さにつながる肝になります。
児童書と絵本の違いについては、以下の記事もチェックしてみてください。